「互いが存在し、循環し合う場所」。逗子の自然と共に育む、それぞれの在り方を大切にする生き方 大野友佳さん
「海にふらっと行けるライフスタイルへの憧れ」から、逗子に移住して1年。
大野友佳(ゆか)さんは“逗子の土地で、人や自然が共存する場”として『焚き火会』を開催したり、「互いが存在し合うだけで循環している」と話します。
その、場に溶け込むような自然体な在り方は、日々の暮らしを「心地よく循環させる」
ことの大切さに気づかせてくれます。
逗子に移住したからの自身の変化、『それぞれの在り方』や『ライフスタイル』を大切にする彼女が大事にしている想い、そして、これからのこと。
夏の終わりの逗子ビーチにて、友佳さん(以下、「ゆかちゃん」)ご自身の言葉で、お話していただきました。
「ドンピシャ」な物件が見つかり、即決め。逗子のことはよく知らなかった。
── ゆかちゃんと知り合ったのが去年(2020年)の終わりだよね。今は逗子に引っ越してきてどれくらい?
去年の9月に引っ越したから、ちょうど1年だね。
物件を探し始めたのは去年の1月くらいから。
その時、引越しは年末を予定してたから、リサーチも含めて1年前から探していたの。
最初は葉山で探していたけど、なかなか良い物件がなくてね。
── あー、なるほど。早まったんだね。
当時、東京に勤めていたから、最初は葉山の海沿い、バス停近くの物件を探してた。でも、通勤で逗子駅を利用するから逗子にしようかなと思って。
そしたら、駅からも海からもほど良い立地、理想の間取り、予算内の家賃で“ドンピシャ”な物件があったの。
すぐ連絡して、その週末に内見したら、すごい気に入ったの。
ただ、逗子の事、全然知らないし、1件目だからもうちょっと他の物件も見たいと思ってて。
でも、内見希望の人が5人以上かな?待ってると言われて。勢いで「もう住もう!」って決めて。その日中に契約の連絡したの。
“海にふらっと行ける”。そんなライフスタイルへの憧れ。
── その日中に契約かあ、、、すごいね。「最初は葉山で物件を探してた」って言ってたけど、このエリアに前からご縁はあったの?
昔、友達と『葉山女子旅きっぷ』をつかって、葉山のおしゃれカフェに来てたの。
落ち着いてて、自然があるし、個性豊かな人たちがお店をやってるとこもいいなって。
住んでいる人の雰囲気も良いしね。
── そーなんだ。逗子・葉山というと、海と山って感じだけど、昔から海や山は好き?
もともと好きかって言われるとフツー。
自然は好きだけど、身近な場所に海や山がなかったし、行く機会がなかったから。
けど、葉山に遊びにきた時、こういう街に住んでみたいなって憧れはあった。「ふらっと海に行く」っていうライフスタイルを一生の内、一度はしてみたいなって。
── そういう“ライフスタイル”をしてみたかったんだ?
そうそう。海が好きっていうか、そういうところに住んでみたいなって。
マリンスポーツとか趣味をする為に海の近くに住むというより、ふらっと海に立ち寄れる生活がしたいなぁーと。「朝、散歩しよー」とか「浜辺でコーヒー」とか「夕日見に行こうかな」みたいな。
あと、空が好き。東京って建物が高かったり、電線だらけで、空が狭い。
でも、逗子の海や山の景色や空が壮大で美しい。
晴れていると富士山も見えるしね。
── そうだよね。逗子ってビーチに出た瞬間にパッと開けるというか。で、ここではマリンスポーツやってる人も居るし、ただ散歩してる人も居る。なんか本当に、ただここに来てそれぞれが自分の好きな時間を過ごしてるよね。
そうそう。なんか、“みんなの庭”な感じがする。
犬も散歩してるし、人間以外も利用してる。
あとね、逗子ビーチ以外にも『大崎公園』っていうお気に入りの公園があるんだけど、そこからの景色も素敵なの。
なんていうか、「海や空、道路や家、木々や鳥などの景色に見える全てと自分は、宇宙から生まれてて、みんな始まりは同じなんだなぁーと。そう思うと地球に存在する一つ一つは地球の細胞なんだなぁ」って感じる。
その感覚からヒントを得て、逗子ビーチで『焚き火会』を始めたんだよね。
コンセプトは『地球の集会』。逗子ビーチでスタートした焚き火会。
── 素敵だね。その『焚き火会』はいつからスタートしたんだっけ?
今年の2月からだったと思う。
── それはゆかちゃんにとって、どんな会なの?
焚き火会は一応、「地球に住んでいる人と、生物と、自然が共存する場」。
── へえー、そうなんだ!面白いコンセプトだね!
そういう場を屋外に作りたくて。
本当は誰もがふらっと立ち寄れる大崎公園みたいな場を作りたかったんだ。
でも、個人的に公園を作るのは難しいから、私には何ができるかなって。
だったら「海で焚き火しよ」って。
砂浜にいれば、海があり、姿は見えないけど魚もいて、空には雲や太陽、鳥もいて、海風と波音もあり、そこに人も居る。
自分の中にあるイメージとして“その場に、それぞれが置けるものを置いている”っていうのがあるんだよね。
わたしは焚き火台をその場に置いて、木に火をつける。焚き火は真ん中に置いといて、火の番はしたい人に任せる。
なかには、食べ物とか飲み物をシェアする人もいるし、この前は「キルタン」っていう歌うヨガを場に流してしてくれたの。
何かを場に提供するっていう意味じゃなくて、
その場に居て誰かの話を「うんうん」って頷いているだけでもありがたいことだし。
海は波音をBGMとして出してたり、空が夕日に変わったり、ただ在る姿を場に出している。
── 全てが繋がってる場なのかな?
んー、繋がっているというより互いがその場にただいるって感覚かな。
例えば、食べ物を提供するから会費を頂くような「物々交換」とかでもないし、
平等に何かを渡したり、受け取る場でもない。
わたしは、この焚き火会を『地球の集会』と呼んでいるんだけど、自分が出来ることを場に置いて、必要な人が必要な分だけ手に取る。そうやって互いが循環し合えば良いなって。
「屋外」っていうのもキーワードなんだよね。
ふらっと輪に入れるし、話の外から眺める事もできる。境界がない感じがいい。
繋がる・繋がらないとかじゃなくて、存在しあっている。互いのグラデーションが濃くなったり、薄くなったりするイメージかな。
相手の思いをただ受け取り、自分の感じたことを伝える。ゆかちゃんが大事にしている在り方。
── ゆるっとした、自然体な感じがいいなあ。みんな、なにも頑張ってないよね。ただ存在してる。なんか、ゆかちゃんの在り方がそれを可能にしてる気がするんだよね。わたしには出来ないもん(笑)
そうかな?
── うん、ゆかちゃんと居る時はいつも「安心感」とか「包容力」みたいなものを感じるよ。何でも受け入れてくれる感じ。
え、ほんとに?
── うん、わたしは急に思いついたことを口に出すタイプだから、何の脈絡もなく「あ、テント張りたい」とか言い出したりするじゃん?結構、周りの人にビックリされるんだけどね。ゆかちゃんの反応って「そうなんだー」って。受容してくれるんだよね。それが面白い(笑)
まあ、仕事で保育士としてお子さんと関わってきたしね。
子どもって自由じゃん。
急にひらめいてわーと喋ってきたり、突然ヒーローになってる子もいるから。
「そーなんだー」って。
大人に対しても、どのような事を考え、感じているのかを「そうなんだね」って聞いている。
聞いた後に「私はこう感じたよ」って言ったりするかな。
その人の「在り方」に興味あるなぁー。
── なるほどー。やっぱり、ゆかちゃんのその在り方が、色んなものが共存できる場を作ってるんだね。
逗子に来て、互いが存在してるだけで循環していると思うようになった。
── 今後もなにか逗子でやっていきたいことはあるの?
今後も、逗子の土地で自分にしか出来ない事をやっていきたいかな。
インスタで、逗子の自然豊かな場所や、居心地の良いお店を発信したり、移住を検討している友人の相談や街案内をしたりしたいな。
あとね、逗子の「町おこし」という観点で、タウン情報メディア『ウラオモテのある電話帳』にライターとして関わる予定。
逗子を盛り上げているお店や人に取材をして、オーナーさんの想いや、おすすめを紹介するの。地域の人が「お困りごと検索」ができるようにお店のキャッチフレーズを考えて、電話番号を載せる予定なんだ。
ゆくゆくは、地域の人とお店だけではなく、お店同士のつながりも拡げる役目ができたらいいなぁーと思っている。
── 素敵な活動!今後も楽しみだね。
保育士を志していた時は、人生の先輩として子ども達に関わりたいって思っていたから、こういう考え方や生きていく知恵があるよって教えたり、サポートをする仕事をしてきたの。
でも、逗子に住んでから、ただ互いが存在しているだけで、循環しているなーってより感じるようになって。
だから、今は子どもも大人も関係なく、「こういう生き方もあるよ」って、ただ在り方を知ってもらえたらいいなって思っている。そして、その人の在り方も大切にしたいよね。
逗子に住む事をきっかけに、仕事についても深く考えるようになったよ。
── なるほど。逗子に移住したことがきっかけで、色んな変化・変容があったんだね。今日はお時間ありがとう!ゆかちゃんとはよく会ってるけど、こんなに深い話ってあんまりしないから、ゆかちゃんが大事にしてることとか聞けて嬉しかったよ。また焚き火会も参加させてね。
=ゆかちゃんが日々の暮らしで大切にしていること=
「“自分と過ごす時間”を作り、エネルギーと時間の使い方を大切にする」
情報や刺激が多いとそこに反応してなんか消耗しちゃうから、なるべくシンプルにしておくの。自分が「これ!」って思ったものに、エネルギーを使えるようにしているから。
あと、“自分と過ごす時間”を意図的に作っている。
美味しいものを自分に作ったり、食べに出かけたり、美しい景色をゆっくり見たり、自然の中で過ごしたり、のんびりお風呂に浸かるとか。
自分を大事に丁寧にしてる感じ。まあ、ちょっと表現違うけど、“自分とデートしてる”ような感じかな。
「これでいいや」って気持ちで自分を扱わない。
自分と本音と対話する時間もとっているかな。
逗子に来て、より自分の生き方を考える時間が増えた気がする。
=ゆかちゃんの逗子のおすすめスポット=
「スパイスツリー」
逗子のカレー屋さん「スパイスツリー」は、時期によって味が異なり、どれも絶品!
逗子・葉山在住の友達とも、逗子に遊びにきた友達ともよく食べに行くおすすめのお店!
★スパイスツリーHP
https://spicetree0316.blogspot.com/?m=1
・ゆかちゃんのインスタグラム
(逗子・葉山を中心に、美味しいご飯や居心地の良い空間を紹介してます!)
https://www.instagram.com/_yukadays_/
<インタビューの中で出てきた情報>
・葉山女子旅切符
葉山女子旅きっぷ | おトクなきっぷ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
・大崎公園
https://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/ryokusei/kouenn/05oosaki.html
・スパイスツリー
https://spicetree0316.blogspot.com/?m=1
・タウン情報メディア『ウラオモテのある電話帳』(逗子版)
https://uraomote-denwa.com/apian/zushi.html
ライター紹介
Kumiko Iijima
高校卒業まで競泳選手として活動。大学では乳酸菌の研究に勤しみ、卒業後は自分の世界を広げるために、海外1人旅をしまくる。ヨガやメディテーションの講師資格も持つ。趣味は読書、写真、映画やアート鑑賞、フリーダイビング(素潜り)。好きな言葉は「無常」。